「AI Overview 対策」で調べると、専用ファイルや特殊なマークアップなど、やることリストが山ほど出てきます。しかしGoogle公式ガイドは、AI OverviewやAI Modeに表示されるための特別な追加要件はないと明記しています。この記事では、公式情報と自社の実測を分け、どのページに何を実装し、何を計測するかまで具体的に整理します。
結論:追加要件はない。検索の基礎と独自情報を同時に整える
GoogleのAI機能向け公式ガイドは、AI OverviewやAI Modeに表示されるための特別な最適化や専用マークアップは不要だと説明しています。ページがインデックス可能で、Google検索のスニペット表示対象であることが基本です。
したがって「先に順位だけを取り、その後でAI向けに別の施策を足す」という二段階に固定する必要はありません。検索対象になる技術要件、読者の問いへの答え、独自の一次情報、内部リンクを同じページで整え、Search Consoleで継続改善します。
構造化データは内容を機械に伝える助けになりますが、AI Overviewへの掲載や順位を保証しません。公式要件と手動検索で見えた傾向を混同せず、成果はSearch Consoleの表示・クリックと問い合わせで評価します。
実測:誰がこの領域を書いていて、需要はどれだけ伸びているのか
同じ日に、もう一段の実測をしています。「AI Overview 対策」の1ページ目に並んでいたのは、SEO会社・SEOツール会社が自社ブログとして書いた解説記事が5本。つまりこの領域の情報は、いまのところ「対策を売る側」がほぼ独占して書いています。事業者が自分の売り場で試した記録は、ほとんど出てきません。
需要側も実測しました。次の表はラッコキーワードで実測した数字です(集計期間2025年7月〜2026年6月)。
| キーワード | 月間検索数 | 前年比 |
|---|---|---|
| AIO対策 | 3,600 | +864% |
| LLMO対策 | 3,600 | +309% |
| AI検索 対策 | 480 | +611% |
| AI Overview 対策 | 210 | +256% |
| AI Overview 表示されない | 70 | +47% |
絶対値は大きくありません。「AI Overview 対策」は月に210回です。ただし前年比は+256%で、周辺の語も軒並み3〜9倍に増えています。絶対値ではなく増え方を見るべき局面で、要するに「この言葉で調べる人はまだ少数派だが、急速に増えている」という状態です。

サイトを運営する側にとっての含意は2つあります。ひとつは、AI検索側の情報の空白がまだ埋まっていないこと。もうひとつは、この領域では「自分で試した記録」そのものが差別化になることです。自社のページで実装して何が起きたかは、対策を売る会社には書けません。
引用される側の条件を、自社が引用されている実例から逆算する
では「引用される側」には何があるのか。一般論ではなく、当社自身が引用されている状態から逆算します。現在、指名検索「テマナシSEO」でGoogleの「AIによる概要」は、当社のサービス内容を正しく説明し、当社のページを参照元として引用しています。そのために実装しているのは、次の3点だけです。
- 1
結論を各セクションの冒頭に置く
見出しの直後の1〜2文で、その見出しが立てた問いに直接答えます。前置き・背景・用語の定義から入らない。Googleの「AIによる概要」もポイントの第2に「結論ファーストの構成」を挙げていました。AIが抜き出しやすい形は、そのまま人が読みやすい形でもあります。
- 2
FAQを明示する
本文に埋もれた質問と答えではなく、質問と答えの形をはっきり分けて置きます。たとえば「何日で届くか」「返品できるか」「他とどう違うか」——購入や申込みの前に必ず聞かれることが、そのまま答えの単位になります。
- 3
構造化データ(JSON-LD)で機械にも同じことを伝える
人が読む文章と同じ内容を、機械が読める形式でページに埋め込みます。商品名・価格・在庫・提供者・問い合わせ先。人向けの説明と機械向けの記述が食い違わないことが重要で、片方だけ盛ると信頼を落とします。
逆に言えば、当社が特別なツールや外部サービスを使っているわけではありません。3点とも、サイトを作る段階で組み込んでしまえば、追加費用のかからない実装です。難しいのは技術ではなく、全ページで例外なく揃え続けることのほうです。
どのページに、何を実装するか
上の3点を、実際のサイトのページに落とすとこうなります。当社が自社サイトで実装している内容を、ページの種類ごとに置き換えた対応表です。商品を売るサイトでも、サービスや店舗のサイトでも、考え方は同じです。
| 場所 | 実装すること | なぜAI検索に効くか |
|---|---|---|
| 主要ページ(機械向け) | 商品・サービス名、価格、提供内容、提供者などを構造化データで記述し、本文の記載と一致させる | AIは「実在し、情報が揃っている売り手」を優先して参照する。表記の食い違いは不信号になる |
| 主要ページ(本文) | 「誰向けか」「何が入っているか」「どう使うか」を、見出しの直後に1〜2文で先に書く | 結論ファースト。AIは冒頭から問いへの直接の答えを抜き出す |
| FAQページ | 購入前に実際に聞かれる質問だけを、質問と答えの形で明示する | 質問文が、検索クエリやAIへの質問文とそのまま一致しやすい |
| 運営者情報のページ | 運営者・所在地・連絡先・特定商取引法に基づく表記を、人にも機械にも読める形で持つ | 誰が売っているか分からないサイトは、AIが推薦の根拠にしづらい |
| ブログ | 自社でしか書けない一次情報(実測・製造工程・うまくいかなかった検証)を積む | 一般論はAIが自前で生成できるので、引用される理由にならない |

この表で一番手を抜かれやすいのは、最後の行です。商品ページとFAQは一度作れば形が残りますが、一次情報は積み続けないと増えません。仕組みとして積み続けられるかどうかが、結局いちばん差になります。
よくある誤解と、正しい順番
AI Overview対策だけ先にやって、SEOは後回しにできますか?
別工程に分ける必要はありません。Google公式はAI機能に特別な追加要件はないと説明しています。クロール・インデックス・内部リンク・本文品質・ページ体験といった検索の基礎を整える作業が、そのままAI機能に見つけられる土台になります。
構造化データを入れれば、Googleの「AIによる概要」に載りますか?
保証されません。構造化データは本文の意味を機械に伝える補助であり、表示内容と一致している必要があります。当社では指名検索で参照された手動観測がありますが、構造化データだけが原因だとは判定できません。一般語も含めて、検索表示・AIでの参照・問い合わせを別々に追います。
まとめ:やることは多くない。大事なのは順番
要点を3つに絞ります。1つめ、AI Overview向けの特別な追加要件はなく、検索の基礎が土台です。2つめ、構造化データは本文と一致させ、FAQ・結論・一次情報は人にも機械にも分かる形で示します。3つめ、掲載は保証されないため、Search Consoleの表示・クリックと問い合わせを継続計測し、独自情報を積み続けます。
「AI Overview 対策」は月210回・前年比+256%(ラッコキーワードで実測/集計期間2025年7月〜2026年6月)。調べている人はまだ少数派です。だからこそ、いま自社のサイトで試して記録したことは、後から追いつく他社には書けない資産になります。まずは主要なページを1つ、結論ファーストで書き直してみてください。
参考資料・一次ソース
- AI機能とウェブサイト— Google 検索セントラル
- 生成AI機能向けのサイト最適化ガイド— Google 検索セントラル
- 構造化データに関する一般的なガイドライン— Google 検索セントラル
AUTHOR
この記事を書いた人

杉山 誇京
株式会社FiTin 代表・テマナシSEO/LLMO運営
デジタルマーケティング大手・オプト出身。大手メーカーから飲食店舗まで、幅広い業種のマーケティング支援に携わってきた。現在はマーケティングと開発の両方を武器に、EC・店舗・住宅など業種を問わずWeb集客サイトを自ら制作・運用している。
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